品のある居酒屋

1週間ほど前に降った大雪で、積雪は一瞬近くになっている。
一直線に横切って帯広市内に通じる道路のわき、一段高くなった見晴らしのいい場所に、アカエゾマツが一本。 大地にしっかり根を下ろし、空に向かい真一文字に伸びている。
1998年9月、Wフードサービスの東証2部上場を記念して植えられた「希望の樹」周辺4カ所に散在する農地こそ、Wフードサービスが帯広大正農業協同組合と栽培契約を結んでいる野菜農場だ。 「産地と直接契約し、ざらに社員の農業研修を通して、安全で安心な野菜の確保を実現「希望の樹」の傍らに、ひときわ目につく大看板。

「産地農場とフードサービス業の協業、契約栽培フィールドエリア」という文字が、Wのロゴマーク、社名とともに大きく書かれている。 97年夏、ホクレン農協連合会を介してWから突然の申し出を受けたO広大正農協専務理事Kは、戸惑った。
「居食屋といってもいわば水商売。 リスクを伴う契約栽培など、初めは考えてもみなかった半信半疑だったKが、Wの熱い思いと考えを理解するのに、そう時間はからなかっ「安全な食材を提供するには、まず使う側のわれわれが生産地に入って農業体験する「安全な野菜を顔の見える産地から直接仕入れる」というWの持論をさらに一歩進めた。
生産現場での体験を通し、店で使う野菜の特性を知り、最善の調理方法にも役立てる。 4〜11月まで、1999年は約70人の社員を派遣、植え付け、除草、収穫の実際を学んだ。
「形や大きさが、実際にはこんなにばらつきがある。 消費地に送られてくるジャガ芋は、形の整ったものだけ。
商品にならないものでも、有効に使う方法があるはずだ」申し出があった翌月、大正農協が主力とするジャガ芋メイクイーンの収穫祭に訪れたWらスタッフが交わす真剣な会話を聞いて、Kは「本物だ」と、確信する。 契約栽培と農業研修の話は、とんとん拍子に進んだ。
ジャガ芋100、200万円。 長芋30、180万円。

玉ネギ50、200万円。 カボチャ20、50万円。
担当する農場主も決まった。 年間100億円の出荷高があるO大正農協にとって、Wフードサービスとの契約は、金額的にはわずかでしかない。
Kは「W社長を先頭に、毎年多くの社員が農作業を経験する。 産地で汗を流しながら、食べる野菜への愛着を深める。

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